花笑む世代へメッセージ
『花笑む』世代の美容ジャーナリスト・齋藤 薫さんから届いた『花笑むとき』を生きるあなたへ贈る珠玉のエッセイ。第2の人生を、より輝かしく生きるためのヒントが、ここに。
60代のある夫婦は、お互いのリタイア後、ある取り決めをした。
年に3回、海外旅行すると。
そうやって回数を決めておかないと、時間はたっぷりあると思っている人生後半も、じつは案外慌ただしく、いつかここに行こうね、こうしようねと話しているだけでは、あらゆることがなかなか実現しないことが分かったから。
少なくとも、60代からは、「いつか、いつか」は、おしなべて「今」なのだという時間軸と、そのための実行力をもたなければいけないと考えたからである。
そして、お互い仕事を持つ夫婦にとって、これまでそれこそ「いつか、いつか」と先送りにし、常に諦めてきたことは、夫婦での海外旅行だったから。
その分、ただ行くだけで満足してしまうような旅にはしたくなかった。
だから年何回と、明快に時間を決めて、旅に出ていない時間も、その旅のための準備に充てるくらいに、重厚な旅にしたかったのだ。
まず「どこに行くか?」は、お互いに対してプレゼンする。
行きたい国は山ほどあるからこそ、今の自分たちに最も充実した旅を提供してくれるのはどこの国なのかをお互いが客観的に評価するという形。
そして行くまでの期間、その国のことをいろいろと調べるのだ。
見所ばかりでなく、文化や風土、歴史、国民性に食事のこと、ネガティブなことまで色々と。
すると普通のさらっとした海外旅行では全く見えないいろんなことが見えてくるという。
加えて英語+その国の言語を、出来る限り勉強する。
持って行く服も過不足ないワードローブを準備する。それだけで、準備の時間も充実する。
もう二度と来られない場所になるかもしれないから、入念に入念に思いを込めて調べ上げ、決して後悔のない濃密な旅にすると言うのだ。
そして彼らはこう言った。
人生はひょっとすると、この為にあったのではないかと言うほど、それは感動的な日々になるのだと。
ちなみに、次の旅を常に楽しみにしている日々は、心を一瞬も後ろ向きにさせないし、それこそ海外旅行は足腰と丈夫な胃腸、風邪もひかない免疫力が重要だから、トレーニングも含めて体の管理は全く落ち度のないものになった。
だから、彼らは異様に若い。歳をとる暇がないのだろう。
さらに言えば、お互いこういう人生のパートナーがいて本当に良かったと、しみじみ思うのだという。
一人旅では決して叶わないのは、行った場所、観たもの、食べたもの、あらゆる体験の感動を人と分かち合うこと。
逆に言えば、パートナーとはそういう感動について、飽きるほど話し合うための相手。
もし共に旅をしなかったら、日常を自分たちで退屈にしてしまうかもしれない。
平板な毎日を相手のせいにしてしまうかもしれない。
それが、旅先では相手の存在感がきらめくのだ。
人生の後半は、何かをしなければいけないと言う義務もルールもないから、全て自分でアレンジしていかなければ、スカスカになってしまう。
密度を高めるのは自分自身なのだ。
だから自分に対してテーマを課すべきなのだが、それは有形無形に自分を幸せにするものであるべきで、その時、誰かとその幸せを共有する人がいると、人生の喜びは2倍3倍になるはず。
若いうちは逆に1人でもいいけれど、年齢を重ねる時こそ、パートナーと人生を共有できるべきなのだ。
やがて年齢を重ねるほどに、人生における最もかけがえのない財産は「人」、そう思うようになるはずだ。
良い友達がいる事はもちろん、喜びを分かち合えるパートナーがいることこそ何よりの財産であると。
50代からの恋愛や結婚も含め、改めてそうしたパートナーの大切さを見極める時なのだと思う。
花笑み世代が本当の意味で輝くためには、自分を照らしてくれる光源のような人が必要だし、自分から光を引き出してくれる人が必要なのだ。
「結婚は長い会話である」という名言がある。
ずっと会話し続けること、共に笑い、共に涙すること、その話題が尽きないことが、最終的に人生を素晴らしいものにするのだと思う。
それこそが人生なのではないかと言ってもいいほど。
だから人生後半、花笑み世代は、パートナーと改めて人生の旅に出たい。
感動を自分から取りに行き、ずっと2人語り合える旅に。
年に3回、海外旅行すると。
そうやって回数を決めておかないと、時間はたっぷりあると思っている人生後半も、じつは案外慌ただしく、いつかここに行こうね、こうしようねと話しているだけでは、あらゆることがなかなか実現しないことが分かったから。
少なくとも、60代からは、「いつか、いつか」は、おしなべて「今」なのだという時間軸と、そのための実行力をもたなければいけないと考えたからである。
そして、お互い仕事を持つ夫婦にとって、これまでそれこそ「いつか、いつか」と先送りにし、常に諦めてきたことは、夫婦での海外旅行だったから。
その分、ただ行くだけで満足してしまうような旅にはしたくなかった。
だから年何回と、明快に時間を決めて、旅に出ていない時間も、その旅のための準備に充てるくらいに、重厚な旅にしたかったのだ。
まず「どこに行くか?」は、お互いに対してプレゼンする。
行きたい国は山ほどあるからこそ、今の自分たちに最も充実した旅を提供してくれるのはどこの国なのかをお互いが客観的に評価するという形。
そして行くまでの期間、その国のことをいろいろと調べるのだ。
見所ばかりでなく、文化や風土、歴史、国民性に食事のこと、ネガティブなことまで色々と。
すると普通のさらっとした海外旅行では全く見えないいろんなことが見えてくるという。
加えて英語+その国の言語を、出来る限り勉強する。
持って行く服も過不足ないワードローブを準備する。それだけで、準備の時間も充実する。
もう二度と来られない場所になるかもしれないから、入念に入念に思いを込めて調べ上げ、決して後悔のない濃密な旅にすると言うのだ。
そして彼らはこう言った。
人生はひょっとすると、この為にあったのではないかと言うほど、それは感動的な日々になるのだと。
ちなみに、次の旅を常に楽しみにしている日々は、心を一瞬も後ろ向きにさせないし、それこそ海外旅行は足腰と丈夫な胃腸、風邪もひかない免疫力が重要だから、トレーニングも含めて体の管理は全く落ち度のないものになった。
だから、彼らは異様に若い。歳をとる暇がないのだろう。
さらに言えば、お互いこういう人生のパートナーがいて本当に良かったと、しみじみ思うのだという。
一人旅では決して叶わないのは、行った場所、観たもの、食べたもの、あらゆる体験の感動を人と分かち合うこと。
逆に言えば、パートナーとはそういう感動について、飽きるほど話し合うための相手。
もし共に旅をしなかったら、日常を自分たちで退屈にしてしまうかもしれない。
平板な毎日を相手のせいにしてしまうかもしれない。
それが、旅先では相手の存在感がきらめくのだ。
人生の後半は、何かをしなければいけないと言う義務もルールもないから、全て自分でアレンジしていかなければ、スカスカになってしまう。
密度を高めるのは自分自身なのだ。
だから自分に対してテーマを課すべきなのだが、それは有形無形に自分を幸せにするものであるべきで、その時、誰かとその幸せを共有する人がいると、人生の喜びは2倍3倍になるはず。
若いうちは逆に1人でもいいけれど、年齢を重ねる時こそ、パートナーと人生を共有できるべきなのだ。
やがて年齢を重ねるほどに、人生における最もかけがえのない財産は「人」、そう思うようになるはずだ。
良い友達がいる事はもちろん、喜びを分かち合えるパートナーがいることこそ何よりの財産であると。
50代からの恋愛や結婚も含め、改めてそうしたパートナーの大切さを見極める時なのだと思う。
花笑み世代が本当の意味で輝くためには、自分を照らしてくれる光源のような人が必要だし、自分から光を引き出してくれる人が必要なのだ。
「結婚は長い会話である」という名言がある。
ずっと会話し続けること、共に笑い、共に涙すること、その話題が尽きないことが、最終的に人生を素晴らしいものにするのだと思う。
それこそが人生なのではないかと言ってもいいほど。
だから人生後半、花笑み世代は、パートナーと改めて人生の旅に出たい。
感動を自分から取りに行き、ずっと2人語り合える旅に。
齋藤薫(Saitou Kaoru)
1955年東京生まれ。
美容ジャーナリスト、エッセイスト。
女性誌の編集者としての経験を生かして美容記事の企画に携わるほか、化粧品会社や百貨店のコンサルタント、
広告や商品開発のアドバイザーとしても幅広く活躍中。