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失われたエストロゲンを補充する。知っておきたいHRT(ホルモン補充療法)の基本

「エストロゲン欠乏」という原因を改善する方法

更年期の不調の多くは、そもそもこの時期に起こるエストロゲン(女性ホルモン)の急激な減少から起こります。そのため、脳は「女性ホルモンを出せ」という指令(刺激ホルモン)をしつこく放出するのですが、その刺激が自律神経のバランスにも影響を与えて、ホットフラッシュや動悸、イライラ感などの不調が起きてくるのです。

そこで、減少していくエストロゲンを補い、脳からの指令を落ち着かせ、つらい症状を起こさせないようにするというのが、HRT(ホルモン補充療法)のコンセプトです。
また、更年期以降のエストロゲンの減少は、皮膚・粘膜の乾燥、骨量減少の原因になりますが、HRTでエストロゲンを補充することはこれらの進行を防ぎ、症状を改善する治療薬としても使用されています。

HRTは医師の処方する治療薬で、「錠剤(飲み薬)」「貼布剤(貼り薬)」「ジェル(塗り薬)」「腟剤」などがあります。ホットフラッシュなどの更年期障害、骨粗しょう症、萎縮性腟炎に対して、健康保険適用になります。

更年期症状を改善して、生活のクオリティを保つ目的

更年期症状は、同年齢でも「とてもつらい」と感じる人とそうでもない人との間に差があるのが特徴です。「汗が出る」という症状は同じでも、「人前に出ると汗が噴き出して、仕事に差し支える」「夜中に何度も汗をかいて起きるので、睡眠不足で日中がつらい」となると、ガマンしていたら日常生活にも差し支え、仕事や家事、対人関係にも影響が出やすくなります。
HRTは、更年期症状をやわらげることで少しでも快適に過ごし、仕事や生活のクオリティを落とさないための選択肢といえます。

「始めたらどれくらいで効果が出るか」は、症状によって異なります。
特に、ホットフラッシュや寝汗、腟や外陰の乾燥・萎縮、性交痛では、使い始めて数日、手指の痛みなどの関節痛では、数週間で変化が実感できたりします。
梅雨から夏にかけての高温多湿の時期には、ホットフラッシュや寝汗もひどくなりがちです。そこで、この時期だけHRTを処方してもらうという方法も可能になります。

このように、HRTは「ずっと続けなければならない治療」ではありません。必要な時期に使い、症状が落ち着いてきたらやめることもできます。使っている間に体調が整い、やめても症状がぶり返さなくなる方もいます。
大切なのは、ガマンを続けることではなく、今のつらさに合わせて無理のない方法を選ぶことです。
なお、骨粗しょう症の治療目的では、骨量は年齢とともに減っていくため、年単位など長い期間続けて使用する処方がすすめられます。

HRTの長い歴史と世界的な評価

ホルモン補充という方法には、「体に過剰な影響があるのではないか」というイメージを持たれがちですが、もともと体内に存在していたエストロゲンを減少した分だけ補充し、快適な状態に戻すという、自然なアプローチだといえます。

HRTは海外で1930年ころから開発が進み、その効果やリスクが世界中で何度も検証されて来た歴史があります。そのたびに、できるだけ少量で使用する「低用量」や、副作用の少ない「天然型」などのHRTが導入され、使いやすいやり方に改良され続けています。

こうした流れを経た上で、日本では更年期医療の専門医学会により「ホルモン補充療法ガイドライン」が制作されており、「HRTはどのような症状を改善するか」「HRTは何歳まで処方できるか」「HRTを処方できないのはどんなケースか」などが医師向けに詳しく解説されています。

HRTの処方は専門医のもとで受ける

子宮のある方では、エストロゲンに加えて黄体ホルモンを組み合わせて処方されることが一般的です。これは、子宮の内膜を守り、内膜増殖を防ぐために必要なことです。また、肝臓への負担を防ぐために飲み薬だけでなく、皮膚から吸収する貼り薬やジェルが選ばれることもあります。
なお、乳がんや子宮体がんの治療中の方、血栓症の既往がある方など、HRTが行えない場合があります。これらの判断に迷ったら、世間の情報に惑わされるのでなく、まず専門医に相談してください。
日本では、HRTの処方に詳しい婦人科専門医として、日本女性医学学会認定の「女性ヘルスケア専門医」がいます。こうした専門医の下で、ガイドラインに準じた処方を受けることが、HRTの効果と安全性を高めるためにとても重要です。

記事監修

公益社団法人女性の健康とメノポーズ協会は、1996年設立(2023年公益法人化)の、女性が健康で充実したライフキャリアを実現できる社会を目指す支援団体です。更年期などのヘルスケア教育、電話相談、企業向け「女性の健康経営」推進を柱に、女性の生涯にわたる健康課題に専門的な視点から取り組み、一人ひとりが本来の力を発揮できる環境づくりをサポートしています。

メグエル

更年期、のち、晴れ。

更年期の毎日が、晴れやかな時間になるように。

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