ホットフラッシュ
(汗悩み・冷えのぼせなど)

ほてりやイライラ、寝つきの悪さなど「なんとなく更年期?」と感じる不調が出てきたとき、知っておきたいのはエクオールという成分についてです。女性ホルモンと似た働きだけでなく、逆に女性ホルモンの作用を妨げる働きもするということで、幅広い世代の女性の健康に役立つことがわかっています。
この記事では、「エクオールとは何か」その「ユニークな働きの特徴について」そして「セルフケアの可能性」について解説していきます。
エクオールは、大豆に含まれるイソフラボンが腸内細菌によって変換されてできる成分です。大豆には、大豆タンパクや大豆サポニンなど、さまざまな栄養が含まれていますが、中でも大豆イソフラボンは、女性ホルモンの「エストロゲン」に似た働きをすることがよく知られてきました。
納豆や豆腐、味噌、しょうゆなどの大豆食品によく含まれていて、昔から、肌や骨の健康と若々しさ、腸内環境を整える、生活習慣病予防にも、毎日十分にとるとよいと言われてきたのです。
「日本人は大豆(イソフラボン)をよく食べるので、欧米人に比べてほてりやホットフラッシュなどの更年期症状が少ない」という海外の研究報告があります。日本国内でも、「大豆製品を日頃よく摂取するほど、乳がん・心疾患のリスクが低下する」という報告が、国立がん研究センターを中心とする「多目的コホート研究(JPHC)」などで発表されています。
近年の研究により、これらの作用の中心的な役割を担っているのが、エクオールであることがわかってきたのです。


エクオールの体内での働きを詳しく見てみましょう。すると大きく「エストロゲン様作用」「抗エストロゲン作用」「抗酸化作用」の3つにわけることができます。
●エストロゲン様作用
エストロゲンは自律神経の調節や皮膚・粘膜の潤い、関節滑膜や骨の健康などにかかわっているため、エストロゲンがなくなると皮膚・粘膜が乾燥したり、関節の柔軟性が失われる、自律神経のバランスが乱れて体温調整しにくくなり、ほてりや多汗が出るなどの不調が起きやすくなります。
このとき、エクオールが体内にあると、不足したエストロゲンのかわりに働きます。エクオールを使った臨床研究では、「ホットフラッシュの回数が減少した」「骨量の減少が抑えられた」「糖尿病や動脈硬化のリスクが減少した」「手指の関節の痛みを軽減」という結果が報告されています。また、首や肩のこりの改善、気分の揺らぎの緩和といった点にも関連が示されています。
●抗エストロゲン作用
逆に、エストロゲンが過剰な場合には、エクオールはその作用を抑える方向に働くとされています。そこで、乳房や子宮ではエストロゲンの過剰な刺激を抑え、乳がんや子宮疾患の予後に影響を与えないと考えられます。
●抗酸化作用
加齢とともに、体内では、血管や内臓、皮膚細胞をさび付かせる「酸化」という現象が起こりやすくなります。これも不調の原因になりますが、エクオールには細胞をサビから守る抗酸化作用も確認されています。
このようにエクオールは、体の状態に応じて女性ホルモンの調整役のように働く、マイルドなサポート成分といえます。ただし、エクオールのエストロゲン様作用は、医薬品のように作用するわけではありません。強さで言えば、ホルモン補充療法で処方されるエストロゲン製剤の約1/1000程度とされています。
あくまでも食品の中の健康成分として、日常的に取り入れやすいのが特徴です。

エクオールに特徴的なのは「体内で作れる人と作れない人がいる」ということです。
納豆や豆腐などに含まれる大豆イソフラボンは、腸内細菌によってエクオールに変換されます。この「エクオール産生菌」の働きを持つ腸内細菌は、これまでに数種類が発見されていますが、人によって腸内にいる細菌の種類やバランスはそれぞれなので、エクオール産生菌を持たない人もいるのです。
大豆製品をよくとる日本人でも、エクオール産生菌を持つのは約半数。大豆製品を食べる習慣のない民族や世代では、もっと少なく30%程度というデータもあります。
また、作れる人であっても、腸内環境は食生活やストレス、睡眠状態によって影響を受けて変化するため、エクオールの産生量も変動します。「最近忙しくて睡眠不足ぎみ。バランスのいい食事もとれていない」ときなどは、作れていない可能性も出てきます。
エクオール産生能を調べる検査キットやエクオール含有のサプリメントも、さまざま出ています。自分のライフスタイルと体質にあった中で、「製造法がわかっている」「必要な成分量が含まれている」などで信頼のおけるものを選びましょう。
更年期の不調は個人差が大きいため、医療にかかるほどではないが、体調のゆらぎに寄り添ってくれる何かがあったら安心かなと感じることもあるでしょう。日々の食事で大豆製品をとりながらサプリメントのかたちでエクオールを補うのもよいかもしれません。