ママフル365コラム “好奇心・探求心”が生きる力を育む
今年は思いのほか、秋の心地よい時期が長かったように感じました。皆さん、実り多き季節を楽しめましたでしょうか?気がつくと2023年も残すところあと僅かですね。年末はせわしなく時が過ぎてしまいがちですが、今年一年を振り返る良い機会でもあります。今回は、なかなか落ち着いた時間がとれない中でも、子ども達の素晴らしい“好奇心”や“探求心”に向き合うポイントについてお話してみたいと思います。
求められる「生きる力」
文部科学省は、2022年4月より高等学校で「総合的な探究の時間」を新たに実施することを決め、社会で求められる力=「生きる力」の育成を謳っています。この「総合的な探求の時間」は『探究の見方・考え方を働かせ,横断的・総合的な学習を行うことを通して,自己の在り方生き方を考えながら,よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を育成することを目指す』<引用:高等学校学習指導要領(平成30年)>ことを目標としています。 つまり、教科の垣根を越えた学習を通じ、子ども自身が自分らしさや将来の生き方について自らテーマや課題を設定し、その目標に対し他者とともに試行錯誤しながら能力や知識を身に付け、「生きる力」を養っていくということですね。また、小・中学校でも同様に「総合的な学習の時間」が設定されているようです。
子どもの”好奇心“や”探求心“を大切にする
乳幼児期の子どもにとって「遊び」は欠かすことのできない本質的な営みで、内なる欲求の表れといえます。ボール遊びやごっこ遊びだけでなく、食事やお掃除のお手伝いも、子どもたちにとって生活自体が「遊び」です。子どもたちはこの「遊び」を通じ、初めての沢山のことに出会い、“好奇心”や“探求心”に満ち溢れているといえるでしょう。
私たちが乳幼児期に育むことを大切にしている『3つのチカラと7つのココロ』(別図参照)の中にも“好奇心=はじめてのこと、知らない世界に対して興味が持てる”“探求心=興味・関心のあることを、楽しみながら深く掘り下げられる”が含まれています。赤ちゃんが寝返りをするのはいつもと違う景色に興味が湧くから、ハイハイをするのは目に入るものに触りたいから、そんな行動一つ一つをとっても、子どもたちが“好奇心”“探求心”の中で生きていることが良く分かりますよね。
乳幼児期はゆっくりと親子の時間がとれる時期です。まずは子どもが自発的に何かに興味をもった時、その気持ちを目減りさせることなくサポートすることが大切です。「なぜ?」「どうして?」に一緒に向き合い、大人も答えが分からなければともに探求を深め、楽しんでもよいかもしれませんね。
“好奇心” や“探求心”が「生きる力」へ
乳幼児期から、「なぜ?」「どうして?」を沢山経験してきた子どもは、大人になっても沢山のことに興味を持ち、多くのチャンスに恵まれていきます。目安として、高校生くらいまでには、自分が何に関心があり、夢中になれるのかを知っておきたいですよね。将来の職業に直結することでなくても全然良いと思うのです。「自分はこれをやってみたい!」「自分はこれをしている時が楽しい!」と自覚できていることが大切だと思います。
乳幼児期に「遊び」を通じ育んだ“好奇心”“探求心”は、その後の成長に大きく繋がっていきます。周囲への興味・関心からさらに想像を広げ、自分以外の他者を慮る心も育まれ、「生きる力」の土台となっていくのです。
忙しい中でも少し時間を作り、子どもが今何に興味・関心を抱いているか、“好奇心”“探究心”をどう育めばよいのか、考えてみてはいかがでしょうか。良い一年の締めくくりができますよう願っています。
- 山本 直美 プロフィール株式会社アイ・エス・シー 代表取締役/NPO法人子育て学協会 会長
- 日本女子大学大学院修士課程修了。
幼稚園教諭を経て、1995年株式会社アイ・エス・シーを設立。幼児教室や保育園運営を通じ25年以上保護者と子どもの育ち合いに携わっている。絵本を活用した独自の教育プログラム『WithBookプログラム』を、自社を中心とした各保育園にて展開し、子どもたちの「こころ」と「ことば」を育んでいる。また2008年設立のNPO法人子育て学協会にて、子育ての専門家『チャイルド・ファミリーコンサルタント(CFC)養成講座』や子育てのヒントを学べる『子育て学講座』等、各種講演・講座を開催している。
育児のプロによる子育てハックや、園の先生による
便利グッズをご紹介!!
- テーマから選ぶ
-
-
“好奇心・探求心”が生きる力を育む
-
好きな遊びから『らしさ』をみつけて
-
外出時などの対話から学ぶ『折り合いのつけ方』
-
子ども達の“得意顔”は褒めるサイン
-
「評価」をしない子ども達から学ぶこと
-
『目標』は『目的』を達成するまでの階段
-
【保育園園長のナルホド育児】
動画やゲームとの付き合い方 -
子どもの大事な“きまぐれ”を応援する
-
【保育園園長のナルホド育児】
「保育園」ってどんなところ? -
記憶を繋ぐことで創る「親子の信頼関係」
-
【保育園園長のナルホド育児】
イヤイヤ期 -
『静』と『動』の遊びから学ぶこと
-
【保育園園長のナルホド育児】
おむつ外れ -
“問題解決力”を一緒に育む
-
【保育園園長のナルホド育児】
離乳食期の関わり方~事前の準備や工夫で楽しく~ -
英語教育からの学びについて
-
【保育園園長のナルホド育児】
子育てはママとパパのチームプレイで! -
「子どもを育てる」ということ
-
言葉をあつかう力
-
【保育園園長のナルホド育児】
子供との遊び(4歳~就学前まで) -
【保育園園長のナルホド育児】
子供との遊び方(0歳~3歳) -
子供の価値観を育むとは?
-
子どもと一緒に「変わる」を楽しむ
-
【保育園園長のナルホド育児】
子供靴の選び方 -
子どもの「理解」と大人の「実践」
-
【保育園長のナルホド育児】
子どもの成長に合わせた服選び -
「火」を灯すように『成長』を観る
-
「制限」と「出会い」
-
【保育園長のナルホド育児】
きれいは気持ちいい楽しみながら取り組もう「手洗いと歯磨き」 -
ファミリービルディング
-
【保育園長のナルホド育児】
一人で着替えができるには -
感情コントロールのために必要なこと−疲労回復と快動
-
【保育園長のナルホド育児】
子どもの排泄について -
子どもの状態・性質をどう見るか
-
【保育園長のナルホド育児】
子どもと食事 -
「日常」を自分たちで“作る”意識がもてる機会にしませんか
-
子どものおでかけ前の
支度とその時間 -
【保育園のナルホド育児】
睡眠・お昼寝 -
【保育園長のナルホド育児】
家庭でできる遊び -
ファミリービルディング
自分たちらしい家族づくり -
きょうだいがいる家庭の
お悩みについて -
【保育園長のナルホド育児】
先の見通しを立てる事、ルーティンの大切さ -
子供の「強み」の見つけ方
「子供の観察方法・伸ばし方」 -
【保育園長のナルホド育児】
「非認知能力」を考える(後編)生きる力をつけるためにできること -
【保育園長のナルホド育児】
「非認知能力」を考える(前編)「非認知能力」ってなんだろう -
自分らしさを確立する
「子どもへの言葉かけの工夫」 -
【保育園長のナルホド育児】
イヤイヤ期の上手な向き合い方を教えます -
入園・進級シーズン
「家庭と仕事の両立」 -
【保育園長のナルホド育児】
トイレトレーニングの上手な進め方とコツ -
【保育園長のナルホド育児】
○○すれば、苦手なものも食べられるように!? -
入園・進級シーズン
「親と子どもの気持ちの整え方」 -
共働き家庭の増加
「子どもとの限られた時間、どう過ごす?」