ママフル365コラム 「制限」と「出会い」
2021年になり2ヶ月近く経ちました。今年のお正月は今までとは違う“初”の経験をした方が多いかもしれません。初めてオンラインで実家とつないだ、帰省しなかったので初めて自分でお節作りに挑戦した、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
色々なことが“制限”されている、と感じている方も多いでしょう。実際に2年前には当たり前のように“できたこと”が今は“できないこと”に変わっていることもありますよね。「当たり前にできることはありがたいことだな」「日常が大切だな」と感じられるよい機会かもしれません。
『制限』がつくるもの
『制限』というのはそれだけを切り取って考えるとあまりワクワクしないですよね。でも私はこの『制限』には、おまけとしてついてくるワクワクするものがあると捉えています。それは「新たな出会い」です。人間は何かを制限されると、それに反発しようとしたり、その中でより自由に動けるようにするために知恵を働かせます。それが新たなアイデアとなって花を咲かせる場合もありますし、今まで知らなかったモノや人との出会いにつながることもあります。コロナ禍ではリアルなつながりが制限されていますが、それによりオンラインでこれまで交流がなかった人と話せる機会ができたり、今までは到底受けられなかった人の講義を自宅で受けたり、よく知らなかったエンターテイメントに足を踏み入れたり・・・という『新たな出会い』をした人も少なくないと思います。冒頭に記した”初“の経験も『新たな出会い』の1つですね。
部分に捉われ過ぎちゃう。。。
人は自分の手首を突然持たれると、だれしもそこに意識が向かうでしょう。そして反射的に振り払おうとするでしょう。それでも振り払えなかった時、より大きく振り払おうとしたり、強い力を加えたりします。
しかし冷静に考えると、制限されているのは手首だけなのです。身体の他の部分は自由なはずです。全体を見られるように意識のフォーカスを変えて、その上でどう動こうか考え、実行することができるようになると『新たな出会い』の楽しみもさらに大きくなります。
子どもやパートナーとの関係性にも同じことが言えるかもしれません。子どもができないこと、やらないこと、パートナーと上手く通じ合えないこと、そう感じることがあったのは事実だとしても、あなたとその周りの皆さんの世界は「〇〇ないこと」だけではないはずです。ついついそこに意識が集中してしまいがちですが、そこは全体をつかみとることをぜひ意識してみてください。
課題解決と創ることは違う
仕事でも同じことが言えると思いますが、子育てでも気を付けたいのは「課題(問題)解決」と「創る」ことは違うということです。明らかにおかしなことに気づいてそれを正すのはもちろん必要なことですが、「ここが問題だからこれを直そう」ということを繰り返していても思い描く状態に近づくとは限りません。
毎日毎時、子どもに注意し、散らかしたものを片付けて…と繰り返しても、子どもに注意することも減らなければ、散らかすものも減りませんし、親の疲れも溜まるばかりです。
それよりも、どういう子どもの状態を目指すのか、どういう家族を創りたいのか、をまずは考えてみてください。そうすると気にしなくていいことや、気にはなるけれど優先順位が下がることも出てくるのではないでしょうか?どうしても優先順位が高くて実行させたいけれど今できていないことがあれば、実現するためにどうすればよいか、具体的に家族で話し合ってみてください。たとえ実現までに時間がかかったとしても、その話し合いが大きな実になるのではないかと思います。子どもの成長や家族の状態によって、創り出したいものも自然と変化していくでしょう。また、少し前には実現が難しかったことがあっさりクリアしたりすることもあるでしょう。そんな驚きも変化も「新たな出会い」として捉え、家族で楽しんでいけると「制限」さえも機会になる、そんな風に思います。
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山本 直美 プロフィール株式会社アイ・エス・シー 代表取締役/NPO法人子育て学協会 会長
- 日本女子大学大学院修士課程修了。
幼稚園教諭を経て、1995年株式会社アイ・エス・シーを設立。幼児教室や保育園運営を通じ25年以上保護者と子どもの育ち合いに携わっている。絵本を活用した独自の教育プログラム『WithBookプログラム』を、自社を中心とした各保育園にて展開し、子どもたちの「こころ」と「ことば」を育んでいる。また2008年設立のNPO法人子育て学協会にて、子育ての専門家『チャイルド・ファミリーコンサルタント(CFC)養成講座』や子育てのヒントを学べる『子育て学講座』等、各種講演・講座を開催している。
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