ママフル365コラム 入園・進級シーズンの「家庭と仕事の両立」
期待と共に不安を感じる声を聴くこともありますが、まず目の前の出来ることに集中すると心も落ち着いてきます。
一年で唯一桜が楽しめる季節であると同時に、子どもを持つパパ・ママにとっては変化が多い4月。お子様が「入園」「入学」「進級」を迎えられた保護者の皆さん、おめでとうございます。ご家庭によっては、パパ・ママが「職場復帰」というイベントを迎えたかもしれませんね。期待と共に不安を感じる声を聴くこともありますが、まず目の前の出来ることに集中すると心も落ち着いてきます。焦らずにいきましょう。
「両立」に対する想い
仕事柄、子育てと仕事の両立をしている保護者の皆さんと数多く接してきていますが、“両立”に対する想いは本当に人それぞれだなと思います。「子どもに寂しい想いをさせて申し訳ない」と思う方もいらっしゃれば、「子どもと少し離れた方が自分もイライラしないで済むのでとてもいい」とおっしゃる方や、「面白い仕事を任せてもらえるようになるために頑張ります」と宣言される方も。
当たり前ですが、どんな気持ちを持つことが親として正しい、正しくない、というものはありません。また、両立をスタートさせた時の想いが、数年経っていろんな事を経て大きく変わることもあります。何が正しいのか、どうあるべきなのか、という考えは一旦置いておいて、まずは今出来る事に集中してみて、また少し時間を置いた後、自分たちの想いや行動の変化を感じてみよう、というくらいの気持ちを持つことも時に大切かもしれません。
子どもの世界を知ってみる
子どもの年齢が小さいと、朝離れる時に激しく泣かれたり、登園を嫌がられたりすることもあるかもしれません。何日たってもその様子が変わらないと、親としても不安に感じたりすることもあるでしょう。そんな時は思い切って園の先生に、日中のお子さんの様子を聞いてみてください。その子なりに、少しずつ毎日変化していることがあると思います。また“子ども同士”の世界に入り、今までとは違う時間を過ごすことで受けている刺激も沢山あるはずです。
“概念”を持つ大人とは違い、物事を固定的に見ず、常に新しいことに挑戦しようとする子ども同士だからこそ、発生しうるコミュニケーションや出来事は、どれだけ私たち大人が頑張っても創り出せないものです。その期間限定の貴重な世界を、子どもを通して大人は疑似体験させてもらっているのかもしれません。「何が今思い浮かんでるんだろう?」「なんでこうしようと思ったんだろう?」と送り迎えの時などに、我が子やそのお友達を是非観察してみてください。子どもたちなりの探求心や好奇心が発見できると、もしかしたらちょっとだけ、ハラハラ、イライラが下がる瞬間も出てくるかもしれませんね。
家での定例会議
私が、ご家族にいつもお勧めするのが定期的な「家族会議」です。仕事の場では、現状がどうなっているか、を全員で認識をすり合わせ、これからどうするかを決める定例会議がありますよね。これを家族でやらないのはもったいないと思います。
家族といえども違う人格ですから、物の見方や捉え方、得意不得意もまちまちです。そんな多様な人間が集まっているのに、定期的な確認をしないで過ごしていると、何か決めごとをする時に「え?そんなこと思っていたの?」といったビックリからスタートして、前提のすり合わせに大きなパワーがかかったりします。特に子どもが小さい時は、生活スタイルが大きく変わったり、未経験の出来事が続いたりしがちです。そこで、「第2土曜日の19時からは家族の定例会議」といったように、決まった時間に“家族と自分”のことについて共有、話し合う時間を設けるのはいかがでしょうか?
週末の過ごし方
最近は子連れで行ける場所のレパートリーも随分と増えたなあ、と思います。平日ゆっくり子どもと過ごす時間が限られている、と感じているパパ・ママの中には、休日くらいはあちこち連れて行ってあげなければ、と思っていらっしゃる方もいるかもしれません。
もちろん様々な経験・体験をさせてあげることは、子どもにとって大切なことではあります。しかし、それらの経験、体験がより活かせる、より吸収できるためには、まず日常が安定し、安心できる状態があることが先決です。入園、パパ・ママの職場復帰など環境の変化で大きな刺激があり、生活リズムも変わったばかりの頃は、休日は特別な予定を入れるよりも、家族でじっくりゆっくり近所をお散歩する、家で大好きな工作をして無心になってみる、といった時間の過ごし方も十分“貴重な”経験・体験となります。毎週末同じことを繰り返すことで、「先週使えなかったはさみが使えるようになった!」「先週は頑張って歩けたけど、今週は抱っこ!ってなっちゃったねえ」などと、より子どもの変化や状態に気づきやすくなったりもします。
子どもが家族と一緒に週末べったり過ごしてくれるのも、小学生くらいまでです。ゆったり味わいながら過ごす週末も、期間限定の貴重な時間と思うと愛おしく感じませんか?
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山本 直美 プロフィール株式会社アイ・エス・シー 代表取締役/NPO法人子育て学協会 会長
- 日本女子大学大学院修士課程修了。
幼稚園教諭を経て、1995年株式会社アイ・エス・シーを設立。幼児教室や保育園運営を通じ25年以上保護者と子どもの育ち合いに携わっている。絵本を活用した独自の教育プログラム『WithBookプログラム』を、自社を中心とした各保育園にて展開し、子どもたちの「こころ」と「ことば」を育んでいる。また2008年設立のNPO法人子育て学協会にて、子育ての専門家『チャイルド・ファミリーコンサルタント(CFC)養成講座』や子育てのヒントを学べる『子育て学講座』等、各種講演・講座を開催している。
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