ママフル365コラム 子供の価値観を育むとは?
生活の中に様々な制限がかかる2度目の夏、みなさんはどのように過ごされたでしょうか。
今夏は予定より1年遅れて、オリンピック、パラリンピックが開催されましたね。選手一人一人が競技へ真摯に取り組む姿に、純粋に心を動かされ、力をもらえた方も多かったのではないかと思います。
私は、今回のオリンピック、パラリンピックを通じ、選手のコメントから、人々の価値観が少し変わってきていることに気づかされました。嬉しいことも苦しいことも含めて、大きく動き出している世の中を“価値観”という視点で考えてみたいと思います。
『見えないものを想像すること』
みなさんは、オリンピック、パラリンピックをどのように応援しましたか?
せっかくの夏休みだったのに、競技場での観戦もできない中、きっとご自宅のTVの前でご家族や身近な方と一緒に応援されたことと思います。そんな選手達の活躍を見て、どのような会話をされたでしょうか?それぞれが頑張る姿を見て「すごい!」「最後まで力をふりしぼってたね」「負けてしまって残念だったね」など様々だったと思います。それと同時に「どんな練習してきたのかな?」「なんで泣いているのかな?」など、目に見えないことも想像をしながら、各々感じたことも伝え合ったりされたのではないでしょうか。
私たちは、想像力の階層のお話をすることがあります。例えばブドウを見た時に「きれいな色だね」「いい匂いだね」「1房にたくさんの実がついているね」と目に見える印象から気づいたことを話し、その先にある見えないものをイメージして、「美味しそうだから●●と一緒に食べたいね」「いい匂いがするから、食べてみたら甘いかな」「農家さんが1つ1つ大切に育ててくれたんだね」など、連想ゲームのようにどんどん想像を膨らませていくことで、いつか自分以外の人を慮ったり誰かの支えになれる心を育んでいくことができるではないかと思っています。目に見えることから色々と想像を広げて会話をしてみるのも、結構楽しいものですよ。
『価値観が生まれる時』
オリンピック・パラリンピックでは幅広い年代の選手が活躍をしていましたが、選手それぞれの想いのこもったコメントがとても素敵でしたね。自分の気持ちをきちんと言葉にされていて、その中でも特に自分に対してポジティブなコメントをする人が多かったように私は感じています。頑張った自分を褒めた上で次も頑張りたい、今回思うような成績が出なかったけれども今まで自分が重ねてきた努力を認めたいなど、一人一人が誰のためでもなく自分のために、その瞬間を楽しんだ結果をしっかりと受け止めており、新しい価値観を感じました。
また、世界中の人たちが注目している場面でも緊張しなかったという選手が多く、びっくりしました。周りからのプレッシャーなど少なからず感じているとは思いますが、まさに誰のためでもなく自分のために、楽しいから、好きだから、子どもの頃からの目標を達成したいから、という純粋な気持ちが大前提にあるのかもしれません。自分の気持ちを素直に表現できることは、とても大切なことですし、そのために積み重ねた努力を自身で認められることは素敵なことですよね。
『家族それぞれの“価値観”を大切に』
さて、みなさんは、ご家族それぞれの気持ちを理解し、それを言葉で伝え合っていますか?
家族でも、好きなもの、時間の過ごし方など、沢山の「気持ちの違い」に気づくことがありますよね。でも、それは自分の中にある「大切な気持ち」の表れで、まさにそれぞれが持つ価値観なのではないでしょうか。
今は、いつでもどこでも欲しい情報を手に入れることができ、あまりにも情報があふれているため、自分でどうしたいのかさえ見失ってしまうことがありますよね。しっかりと自分の「大切な気持ち」の物差しを持てているかどうか?自分の価値観を持っていれば、子どもたちがこれから成長していく中で必ず支えになる時があるはずです。
大人はどうしても子どもに、こうしなさい、ああしなさいと指示をしてしまいがちですが、沢山の選択肢があるからこそ、自分はどうしたいのか?そんな問いかけから子どもの「大切な気持ち」を見つけて、未来にある可能性を一緒に想像してみてはいかがでしょうか?その積み重ねの中で、家族それぞれの価値観を育んでいってほしいなと思います。
- 山本 直美 プロフィール株式会社アイ・エス・シー 代表取締役/NPO法人子育て学協会 会長
- 日本女子大学大学院修士課程修了。
幼稚園教諭を経て、1995年株式会社アイ・エス・シーを設立。幼児教室や保育園運営を通じ25年以上保護者と子どもの育ち合いに携わっている。絵本を活用した独自の教育プログラム『WithBookプログラム』を、自社を中心とした各保育園にて展開し、子どもたちの「こころ」と「ことば」を育んでいる。また2008年設立のNPO法人子育て学協会にて、子育ての専門家『チャイルド・ファミリーコンサルタント(CFC)養成講座』や子育てのヒントを学べる『子育て学講座』等、各種講演・講座を開催している。
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