ママフル365コラム 感情コントロールのために必要なこと-疲労回復と快動
感情コントロールのために必要なこと-疲労回復と快動
今年の夏休みは多くの家族が例年と少し違う過ごし方を強いられていたのではないでしょうか。なるべく「いつも通り」に過ごそうとしたご家族、いつもと大きく予定や計画を変えたご家族、100家族あれば100通りの過ごし方だったと思いますが、いずれの場合であっても、無意識の底にある緊張感や制限がある上、暑さも加わり、ご自身で感じられている以上に“疲れ”が溜まっているパパママも多いかもしれません。今回はパパママの”疲れ”と“快動(後ほどこの意味は説明しますね)”、そして子どもと接するときの“感情コントロール”について書きたいと思います。一見関係なさそうな3つですがとても密な関係です。
心と身体の疲れ
どこかが痛い、血が出ている、というわかりやすい状態だと、心がその箇所に向かいますが目に見えないと、気付かなかったり、なんとなく違和感を感じていてもついつい後回しにしたりしてしまいますよね。
でも、ぜひそこはきちんと心を向けてあげてください。といっても、子どもがいると自分自身のことに100%気を向けるのは難しいですよね。そのような場合、定期的に自分の身体や心の状態がわかる仕組みを入れることが大切だと思います。毎月決まったお気に入りのマッサージを予約してそこで「今月は凝ってますね」とか「目が疲れていますね」などとフィードバックをもらう機会を作ることや、毎日昼食後にコーヒーを飲む時に伸びをしてその時の自分の身体や心の状態を客観的に見つめる習慣を作る、など。そして疲れているな、弱っているな、と気付いた時には必要な休息は取りつつ、是非“気”が流れるようにすることを心がけてみてください。
疲れのケアと「快動」
人と人とのコミュニケーションは相手と心を通わせることだと思います。そのためにはまず相手の状態に「気付く」ことが大切だと思うのですが、自分自身の“気”が滞っていると相手と心を通わせることは難しいです。そのために、必要なエネルギーの補給(食事や休息)をきちんと行った上で、自分が心から大好きなことに向き合う時間を確保することをおすすめします。この心から大好きなことに向き合うこと、別の言葉でいいかえると、夢中になれる、無心になれることを“快動”と呼んでいます。「徹底的に部屋を片づける」という方もいれば、「自然の中で汗をかく」という方もいて、人により快動はそれぞれ違います。『頼まれてもいないのについついやりたくなること』『やっている時にすっかり時間を忘れてしまうようなこと』をぜひ書き出してみてください。日常の中にそれを織り込める場合と、きちんと計画を立てないと実行できない場合とありますが、その“快動”の時間を自分で大切に、そして定期的に持つことにトライしてみてください。
快動によって得られること
自分が夢中になれる、無心になれること(快動)にとことん向き合う時間を持つと、家庭の中でも色々と良いことがあるな、と考えています。
まず、相手の快動にも寛容になれます。たとえばパートナーの趣味だったり、子どものいたずらだったり。子どものいたずらはこの“快動”になっていることがとても多いのです。ティッシュをひたすら出す、いつまでもダンゴムシを探す、シールを貼ったり剥がしたり。大人からすると「もうやめて~」と言いたくなる場面も多いとは思いますが、実はこの“快動”は本人の特性や、興味がものすごく詰まっていますし、探求心や集中力が大きく育まれている過程なのです。自分が快動により満たされている状態であったり、その感覚を思い出せる(定期的に快動を楽しんでいる)状態ですと、子どものそういった言動も「ああ、今探求しているんだな」などととらえられるようになります。
他には、快動によって、その前まで自分が意識していた(時に無意識にしていた)ことへの“気”の向きが変わります。いわゆる滞っていたり留まっていた“気”が動く事により、変化し、それまでずっと悩んでいたことや迷っていたことを違う視点から見られたり、異なる次元で感じられたりすることが多い、ということです。
自分のケアをすること
冒頭に書いた3つの最後が子どもと接するときの感情コントロールです。ここまで読んでくださった方の中にはお分かりいただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、パパママ自身が自分の心身にきちんと気を向けてケアをしていること、自分の心身の状態に気付けるようになること、そして自分の快動を持てて”気付ける“状態にあること、それらが子どもと接するときに我々大人が感情コントロールできる一番の近道だと考えています。ただ、それが出来ない時もあるのもまた人間らしくていいなとも思うのです。身近な人間から喜怒哀楽の感情を知り、獲得するのも子どもにとっては大切な体験です。もし「つい感情的になっちゃったなぁ」と思う時があったら「ごめんね」と一声かけ、気を向けて新たな会話、対話のきっかけにしてしまえばいいと思います。
この記事を読んでくださった方が、心身の疲れのケアと快動の時間を大切にし、家族に笑顔が増えることを祈っています。
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山本 直美 プロフィール株式会社アイ・エス・シー 代表取締役/NPO法人子育て学協会 会長
- 日本女子大学大学院修士課程修了。
幼稚園教諭を経て、1995年株式会社アイ・エス・シーを設立。幼児教室や保育園運営を通じ25年以上保護者と子どもの育ち合いに携わっている。絵本を活用した独自の教育プログラム『WithBookプログラム』を、自社を中心とした各保育園にて展開し、子どもたちの「こころ」と「ことば」を育んでいる。また2008年設立のNPO法人子育て学協会にて、子育ての専門家『チャイルド・ファミリーコンサルタント(CFC)養成講座』や子育てのヒントを学べる『子育て学講座』等、各種講演・講座を開催している。
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